マンション建て替え促進のための法改正
2025年7月1日
◆⋄◆ 老朽化マンションの管理・再生の円滑化を図るための法改正 ◆⋄◆
区分所有法やマンション建替え円滑化法などを改正するマンション管理・再生円滑化等のための改正法案が今国会で成立しました。改正法の施行期日は、一部の条項を除いて令和8年4月1日です。
◆⋄◆ 法改正の背景◆⋄◆
法改正の背景には、日本にある700万戸を超えるマンションの約2割が築40年以上となり、今後10年で2倍となるなどのマンションの老朽化の進行や、居住者の高齢化や死亡などによる管理の困難化があります。
◆⋄◆ 法改正の概要 ◆⋄◆
主な改正点は、マンション管理に関し、
- ①分譲業者による管理計画の作成と管理組合への承継制度の創設
- ②区分所有権の処分を伴わない事項についての全区分所有者の多数決制から集会出席者の多数決制への変更、所在不明者を決議の母数から除外する制度の創設
- ③管理不全の専有部分や共用部分等の裁判所が選任する管理人による管理など
マンション再生に関しては、
- ①建物・敷地の一括売却、1棟リノベーション、建物の取壊し等を全員同意から5分の4(耐震不足の場合は4分の3、政令指定災害による被災の場合は3分の2)の多数決とされ
- ②容積率確保のための隣接地取り込みの合意形成の促進制度や耐震不足による建替えの場合の高さ制限の特例
また、危険なマンションへの報告聴取、助言指導、勧告、あっせんなど地方自治体の関与規定などが設けられました。
◆⋄◆ 法改正の問題と課題 ◆⋄◆
しかし、経費の高騰による積立管理修繕費の増額、管理修繕費不足による建替え・修繕できないマンションの存在、建替えに賛成しない高齢者などの住居保障などさまざまな問題を存します。法改正だけでは解決できない課題の対策も必要です。
弁護士 杉山潔志