未払賃金の立替払制度~ 賃金の支払の確保等に関する法律 ~
2025年2月3日
Q
勤務先が倒産しました。給与の未払があり、困っています。
A
労働者は、倒産した事業主に対して未払賃金請求権があり、その清算の後に残った資産があれば受け取ることができます。しかし、事業主には資産がない場合がほとんどです。労働者の生活安定のため、事業主が破産手続開始決定を受けた場合などに、退職した労働者の未払賃金があるときは、国(独立行政法人労働者健康安全機構)が、その一部を事業主に代わって労働者に支払う制度があります。すみやかに窓口等に相談してください。
Q
法的な破産手続などしていない場合でも対象になりますか。
A
事業主の要件は、
-
- ①労災保険の適用事業の事業主であり、かつ1年以上事業を実施したこと、
- ②ⅰ)破産、特別清算、民事再生、会社更生などの法律上の倒産をしたこと、あるいは、
- ⅱ)事業活動を停止し再開見込みなく、賃金支払能力がないと労働基準監督署長が認定した場合(中小企業事業主に限る)です。
事実上の倒産にあたるとして、労基署に認定申請をしてください。
Q
給与のほかに、賞与や退職金も未払になっているのですが。
A
立替払の対象は、退職日の6か月前から立替払請求日の前日までの支払期日の定期給与と退職金です。賞与は含まれません。
Q
対象となる未払賃金は全部支払われるのですか。
A
未払賃金総額の8割です。また、退職日の年齢により立替払の上限額があり、45歳以上296万円(未払賃金総額370万円)、30歳以上45歳未満176万円(同220万円)、30歳未満88万円(同110万円)です。
Q
請求の期限はありますか。
A
裁判所の破産手続開始決定等の日の翌日から、又は、労基署長の倒産認定日の翌日から2年以内に立替払請求書を前記機構に提出する必要があります。
弁護士 吉田眞佐子