京都南法律事務所

相談予約
075-604-2133

井関佳法 Essay

治安維持法100年
2025年11月
 今年は「治安維持法」ができて100年目の年。この法律は共産党や戦争に反対する人だけを対象としたのではありませんでした。
  • 昇降機しづかに雷の夜を昇る   西東三鬼
  • ネクタイを締めて薄給かくす夏  平畑静塔
 これらは1940年京大俳句事件で弾圧の理由とされた俳句です。三鬼は有名な「水枕ガバリと寒い海がある」を作った人で、この句はありのままを詠んだものでしたが、特高警察は「雷の夜」は国情不安、「昇降機が昇る」は共産主義高揚と解釈し責め立てました。
 静塔の俳句も銃後の生活苦を素材とした反戦俳句とされ、裁判官も「一般大衆に階級的、反戦、反軍的意識を浸透せしめ、その左翼化に努め、もって共産党の目的遂行のためにする」ものと決めつけました。
 ただ、昔はひどかったで済ませられない状況です。自民党総裁候補や参政党、日本維新の会、国民民主党がスパイ防止法を公約に掲げ、参政党の神谷代表はスパイ防止法は「極端な思想の人を洗い出し辞めさせる」ためと言い、治安維持法も「悪法というけど、共産主義者にとっての悪法」と、同法による弾圧を評価しています。
 治安維持法がどんな法律でどう使われたか、改めて見つめなおすことが必要でしょう。

ページトップへ戻る