京都南法律事務所 新法・改正法の紹介

法の適用に関する通則法
(平成18年・法律第78号)
(108年ぶりの改正)
 国際結婚をめぐるトラブルがあった時にどの国の法律を適用するかとか、日本人が外国旅行に行ったときに交通事故が発生した場合にはどうかなど、我が国で裁判をする場合にどの国の法律を適用するかについては、明治31年に作られた「法例」に拠っていました。さすがに古くなり全面的に改正され、「法の適用に関する通則法」が、平成19年1月から施行されています。
  準拠法決定という、「国際私法」の分野の問題です。

(消費者契約・労働契約)
 それらの契約を含めて、契約の効力の準拠法は、当事者が合意で決め、それを決めなかった時は、その契約と最も深い関係のある国の法律(最密接関係地法)を適用することになっています。
 しかし、契約の片方当事者が弱い立場にあることが多い消費者契約や労働契約の場合、事業者や使用者が弱者保護のための強行法規(例えば、消費者契約法や労働基準法)の適用を免れるために、一方的に都合のよい国の法律を選択することが考えられます。そのような場合でも、一定の要件がありますが、消費者が住んでいる国、労働者が労務提供をする国の法律の強行規定の適用が受けられるようになっています。

(不法行為)
 この点について、法例は、その原因の発生した国としていました。しかし、インターネットでのやりとりなど遠隔地間においても不法行為による損害が発生することもあり、結果が発生した国の法律を適用することに改正となりました。また、特例として、生産物の瑕疵により損害が発生した場合は、被害者が生産物の引渡しを受けた国の法律としています。

(結婚・離婚)
 基本は、夫婦の本国法であること、国籍が違う時は夫婦の常居所地法であることなど、変化はありません。また、離婚について、一方が日本に常居所を有する日本人であるときは、日本法によることもこれまでどおりです。
情報更新:2007年9月
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