コラム 吉田 眞佐子 
ジェンダー平等と統一協会

 世界平和統一家庭連合(旧世界基督教統一神霊協会。以下、統一協会と言います)は、正体を隠した伝道や霊感商法、高額献金、合同結婚式などが社会問題となり、これを違法として損害賠償責任を認めた判決などが多数あります。
 統一協会は、男女の結婚を前提とした「家族」の秩序を脅かすとして、選択的夫婦別姓、同性婚、性教育に反対し、性の多様性を攻撃しています。
 また、統一協会は、政治家との深い結びつきを通して、国・地方行政に政策的影響を与えていることが指摘されています。
 日本では、国民世論が高まっているにもかかわらず、ジェンダー平等、性の多様性を認める政策が先進諸国の中でも特に遅れている状況があります。
 2005年に、自民党は「過激な性教育・ジェンダーフリー教育に関する実態調査プロジェクトチーム」(座長は安倍晋三氏)を立ち上げて全国の実態調査をし、バッシングが拡がり、日本の性教育、ジェンダー教育は大きく後退しました。この分野でも統一協会の活発な活動があることが報道されています。
 最近、芸能事務所での長年にわたる少年への性虐待、性加害が社会問題となっています。教育現場で子どもの年齢に応じた正しい性の知識を学び教えることは、人間関係を学び、意思決定力を育み、性暴力・性被害のリスクに対応するためにも重要です。世界の流れは、「包括的性教育」であり、性と生殖に関する健康・権利を学び、ジェンダーの視点を持つことが求められます。
 あらゆる分野においてジェンダー平等を進め、一人一人の人格を尊重する法制度の整備が急務です。

2023年11月