コラム 杉山 潔志 
ミツマタロードを行く

 時にあらずと声も立てなかった鶯が鳴き声を競い、桃や桜が咲き、やがて立夏を迎えます。菜種梅雨の晴れ間の3月30日、天王山のミツマタロードを上ってきました。山道沿いに植えられたミツマタは黄色い花が鮮やかな満開を迎えていました。
 私の故郷にはミツマタの栽培や和紙漉きをしている地区 があり、冬の清流に浸された黒皮や山の斜面に咲いたミツマタの風景を思い出しました。この地区では、クラウドファ ンディングで募った資金で、高齢化と過疎化で衰退したミツマタの産地と和紙漉きを復活させる取り組みが進められています。
 グローバル化した資本主義経済は、人と地球に対する搾取と収奪による資本の蓄積と資本投下のサイクルを繰り返して巨大化し、人間社会には格差の拡大をもたらし、二酸 化炭素やプラスチックごみ、放射能汚染水などを環境に廃 棄して、その破壊と地球温暖化をもたらしました。このまま推移すると人間社会と地球環境が破綻すると懸念されています。
 鶯の声やミツマタの花など地球の進化がつくりだした造形に接すると、多様な生命が存在し続けられる持続可能な人間の産業活動を求める自然の声が聞こえてくるようです。
2024年4月